撮影は2014年7月22日。”お花の開花情報”によればニッコウキスゲ咲きそろった様でしたので、7月12日に引き続き森吉山に登ってみました。当地はまだ梅雨のさなか、天候があまり芳しくないため写真撮影としては不向きな季節ではありますが、花は待ってくれませんので決行しました。
麓ではそれほど悪い天候でもありませんでしたが、山の頂上辺りは雲が立ちこめているため眺望はあまり期待はしていませんでしたが、長めのレンズと三脚を携えていざ出発。

 

ゴンドラ運転情報 お花の開花情報 (共に森吉山阿仁スキー場のHPです)      

 

 

石森から湿地帯まで

今回は「石森」まで一気に登ります。本日の目的である「ニッコウキスゲ」と「森吉山」です。
頂上付近には頻繁に雲が稜線を駆け上がって来ますので、雲の切れ間に撮影しています。おまけに、今回の「石森」は霧はなかったものの風が強くて花が絶え間なく揺れています。被写界深度を取るため絞り込み、シャッター速度はスローにする必要があったのですが、頂上の晴れ間と花の揺れが同時に収まることはほとんどありませんでした。しかも、露出はコロコロ変わります。
ここでの撮影に1時間以上を費やしたのですが、あまり満足できる結果が出ませんでした。本腰を据えて今日ここで1日を過ごすのも悪くはないのかと思ったのですが、生来貧乏性なもので、せっかく登ったのだから他の所にも回ってみたいと・・・。頂上に雲がまとわり始めたのを機会に撮影を切り上げ頂上を目指すことにしました。

 

情報では、「ニッコウキスゲ」は全山見頃とのことですが、戸鳥内登山ルート(ゴンドラ経由の登山道)に花があったのは「石森」周辺、湿地帯付近、「稚児平」付近の一角で、前回(7/12)の様に道端にチラホラ咲いていた花はほとんど散っていました。もっとも情報は7/17発表のものですので咲き進んでしまったのでしょう。

写真上左:石森分岐付近 写真上中央:湿地帯 写真上右:湿地帯通過後 写真下:稚児平付近

この日(7/22)に咲いていた花

石森から湿地帯を抜け阿仁避難小屋までは、あまり撮影せず通過しました。時間的なこともあって先を急ぎます。時間があったら下山の際にとも思っていたのですが、結果的にこの区間はほとんど撮影しませんでした。
前回見かけた、ニッコウキスゲ、ハクサンチドリ、イワイチョウ、イワカガミ、イワハゼ、ウラジロヨウラクなどは花も終わり、目新しい花もありませんでした。

撮影は阿仁避難小屋から過ぎた辺りから、稚児平周辺及び山頂付近となっています。

 

この日、目に付いたのは「ハクサンボウフウ」。夏の白い花の代表格です。低い場所から頂上付近まで咲いていて、山を覆っています。花自体はありふれていて地味な感じですが、一面に咲いていると綺麗です。

ハクサンフウロ」は稚児平手前付近でよく見かけられます。生息範囲は狭く、この辺り以外では見られません。
花は小さいのですが鮮やかな色で遠くからでも目に入ってきます。
個人的に、この季節で一番好きな花です。

ネバリノギラン」は地味な存在で、花も地味で花弁はほとんど開きません。花に粘りがあり名前の由来となっています。
蕾は褐色ぎみですが、開花頃は白くなります。
下の「ノギラン」とよく似ていますが、ロゼッタ状の葉は細く緑色をしています。
「ノギラン」と同じ様な場所に咲いているため見落としがちな花です。「ノギラン」ほどは数が多くありません。

ノギラン」はまだ蕾です。地味ですが褐色の花を付け「ネバリノギラン」とは違い花弁を開きます。
ロゼッタ状の葉は黄緑で先端は褐色を帯びていて「ネバリノギラン」に比べ広い葉を持ちます。
広く分布していて道端の草むらによく見かけます。

「ノギラン」「ネバリノギラン」共に名前に”ラン”と付いていますがユリ科の植物です。

トウゲブキ」はこれからが見頃を迎える花で、今日は数本に開花が見られました。
花茎が1mほどになるため目立ちます。
葉が「フキ」に似ているのでこの名を付けられました。

森吉山の夏を代表する白い花が「ハクサンボウフウ」なら、黄色い代表はこの「キンコウカ」でしょう。
花が小さく、背丈も低いので草むらに埋もれてしまいそうですが、ふと気が付くと足下にあったりします。全山に見られますが、稚児平付近は群生し綺麗でした。

稚児平を越えてからポツリポツリ見えだしたのが「クルマユリ」です。
花の見た目は「オニユリ」に似ていますが、葉は輪生し「車百合」の由来になっています。
写真では大きさがわかりにくいのですが、開いた状態で5〜7cmぐらいでしょうか、想像以上に小さく可愛い花でした。

道端に咲いていた「イワハゼ」に代わり「ミヤマホツツジ」が咲き始めました。背丈は低いですがれっきとした木です。
花自体は地味ですが、特徴ある反り返った雌しべが特徴で、何ともユーモラスな姿です。名前の由来はこの雌しべにあります。漢字で「深山穂躑躅」と書きます。

チングルマ」の実です。
稚児平では10日前に沢山あった綿毛は全くと言ってよいほど見えなくなっていました。
花も実も見頃が短いのが高山の特徴です。短い夏に一斉に花を咲かせ実を結ぶ、厳しい環境なんだと実感します。

ホソバノキソチドリ」は全体が緑なので草むらに隠れやすいのですが、丹念に探すと所々で花に会える事が出来ます。

マルバシモツケ」は見頃が過ぎていました。稚児平付近で花を付けていた株を1本だけ見つけました。

ウゴアザミ」は比較的大型のアザミです。まだ季節には早いようで蕾のものがほとんどでしたが、ゴンドラ駅近くに1輪だけ花を咲かせている株を見つけました。

草むらの中でヒョロッと立ち上がっているのは「アオヤギソウ」。緑色の花は目立たなく、雄しべの黄色がなければ気が付きませんでした。
正直、花のない季節は「ギボウシ」と似たような葉を持っている植物は私には区別が付きません。花が咲いて初めて、あぁ、そうなんだと分かります。

「ギボウシ(ウルイ)」は美味しい山菜ですが、知らない場所に生えているものは採取しません。夏に花を確認してから次の年に採取します。

この花のために頂上までやって来たと言って過言ではない「ヨツバシオガマ」。森吉山では山頂付近にしか見られません。
花が咲き進んでいて、穂の先にしか花が残っていませんでした。
切れ込みの深い4枚の葉が輪生しているのが花の名前となっています。

山頂駅から頂上まで分布する「ハクサンシャジン」はこの季節の花の代表格です。標高の低い場所はまだ蕾なのに、頂上付近は見頃でした。
花期は長いようで、先日1箇所だけ花を付けていた株がまだ花を咲かせていました。まして、標高の低い場所はまだ蕾ですので、後しばらくは花を楽しめそうです。
頂上より少し下の場所に、ほぼ白い色の花を付けた株を見つけました。(写真下右)
写真下右のピンク色は「ヨツバシオガマ」、写真下中央の左の黄色は「トウゲブキ」右の黄色は「
アキノキリンソウ」です。

頂上直前で1本だけ咲いていた「アキノキリンソウ」です。麓から頂上付近まで広く分布していますが、今日であったのはこの1本だけでした。

山頂付近に見つけた「ノリウツギ」でしょうか?里では普通に見られる花木ですが、山頂にあるとは驚きでした。草に埋もれるくらい小さな株なのに花を付けています。今日はここ以外では見られませんでした。

稚児平付近にあった「アカミノイヌツゲ」の花です。花が小さい上に風に揺れて、なかなかピントが合いません。

ゴゼンタチバナ」は盛りを過ぎましたが、わずかだけ、まだ花を付けている物がありました。

あれほど咲き誇った「ウラジロヨウラク」も、10日経過するとほとんど見られなくなっています。花を探すのが一苦労です。

イワイチョウ」も花期を過ぎました。大半は実を結んでいて花はあまり見られません。結局、葉は群生するのですが、花付きは良くないことが判明しました。

タチギボウシ」の蕾。良く見慣れている「オオバギボウシ」に比べ、背丈は小さく、花の色が濃いのが印象的です。まだ開花している花はありませんでした。

 

9時15分にゴンドラで山麓駅から出発して、山頂に着いたのが13時20分。登頂まで4時間も掛かってしまいました。途中の「石森」で1時間以上、頂上目前十数メートルで30分以上も撮影していたのですから当然ですね。この2地点だけで2時間を費やした事になります。 ^ ^;;
この後「山人平(やまびとだいら)」まで行く予定だったのですが、帰りのゴンドラに間に合わなくなってしまいますので断念しました。「ヒバクラ岳」方面には一度も足を運んだことがないので、期待していたのですが残念でした。下山予定の14時30分まで、頂上で遊んでいきます。

森吉山山頂

森吉山山頂標柱です。
右に見えるのが「一ノ腰」、標柱の右側のピークが「前岳」、標柱の少し左に「森吉避難小屋」、更に左のピークが「石森」、左端に見えるのが「阿仁避難所」、それより右少し高い場所に霞んでいるのが「ゴンドラ山頂駅」です。
※画像をクリックすると大きな画像(1500x541pix)が別窓で開きます。(コントラストを上げていますので画像が粗いのでご勘弁を)

頂上付近なのですが、30年前に来たときはこの辺りは石ガラだらけで、ハイマツとチシマザサが少しあった位だったのに緑で覆われていました。

あと少しで頂上なのに、あれやこれや撮っていてなかなか頂上に着きません。 ^ ^;;

頂上の標柱と三角点(基準点)。木の台には見晴らしの案内図でもあったのでしょうか、今は何も残っていません。頂上には他にも記念碑やお地蔵さんがあります。

山人平への分岐道は巨岩とハイマツを縫うように道が作られています。今日も多くの登山者が山人平へ向かっています。この時刻(14:00頃)ですので、ヒバクラルートを抜けてヒバクラ登山口へ向かうのでしょう。

霧(雲)がやって来ました。右は「ヒバクラ岳」、左下は「山人平(やまびとだいら)」です。

あっという間に雲の中になってしまいました。

阿仁避難所も霞んできました。石森は全く見えない状態です。

 

 

完全に雲の中に入ってしまい周囲の景色は全く見えません。風も強くなり、足場の悪い頂上、油断すると風にあおられ足下をすくわれます。頂上からの眺めのためにと持ってきた、200mm、300mmのレンズ、三脚は無用の長物でした。重かったのに・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
この雲の中ですから湿度は100%以上、まとわりつく風に着ていた服さえ湿ってきます。風のせいで肌寒くさえ感じる頂上で遅い昼食をそそくさに済ませ、午後2時30分下山。下山途中、後に回しておいた花の写真を撮りながらゴンドラ山頂駅に3時40分到着。今日も最後の下山者でした。

頂上で「山人平」から戻った方の情報では「花は咲いていない」とのこと。無理に足を延ばさなかったのが正解でした。今日も沢山の花に会えた楽しい登山でした。

 

 

 

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