撮影は2015年6月24日今回は山人平まで足を延ばします。行って帰るだけだったらゴンドラ利用でも問題ないのですが、今までの例だと、歩く時間と同じ時間を写真撮影に費やしています。若くない私の体力では山頂駅〜山人平往復で5時間を見込まなければなりません。(もちろん休憩込みです。)
山頂駅9時出発、16時到着の7時間の予定だと撮影に2時間しか時間を掛けられません。せっかく遠出するのですから、ゆっくり撮影したいじゃないですか。結果、早朝出発しブナ帯を経由し山頂、山人平を目指しました。これだったら帰りは日没までにブナ帯に戻れば良いので、時間的にかなり余裕があります。
掲載写真はほぼ順路に沿って並んでいます。往路は山頂までひたすら上りに専念、撮影は復路でゆっくりと・・・。本当は見つけたときに、目に飛び込んだ景色を撮る方が絶対に良い写真になるのですが、上りのゼーゼーハーハーの息を整え、構図を決めたりなどとやっていると時間が掛かってしまい目的地までたどり着けなくなってしまいます。
実際問題として往路で良いなと思っていても、復路で見失っているなどいつものことですから、本当は気に留めたときに撮っておくことが大事なのですが。

 

ゴンドラ運転情報 お花の開花情報 (共に森吉山阿仁スキー場のHPです)      

 


ブナ帯の駐車場を6:40スタート。しばらくの間はほぼ平坦な上り、やがて勾配が徐々にきつくなり、地表に出たブナの根が自然の階段に、中程からは石段の急勾配の連続になります。
ガイド誌やパンフレット等ではブナ帯〜ゴンドラ山頂駅までの所要時間60分となっていますが、よほど健脚自慢の方でなければこの時間では登れません。

これは前日(6/23)の森吉山。
打当温泉手前の
遊遊ガーデン入り口付近からの撮影。

ブナ帯の上り始め約45分。ツバメオモトが目に入ったので、ここで小休止。山頂駅より高い位置ではあまり見られませんが、ブナ帯では道端にチラホラ見かけられます。

夏のブナ帯も緑が綺麗でした。
頻繁に麓から霧が駆け上がってきます。なんだか避暑地の高原の朝みたいです。(実際は息を切らすような急坂なのですが)


階段の連続、数段上がっては立ち止まり、息を整えて次の石段を登る。8:10やっとブナ帯の急坂から解放されゴンドラ山頂駅付近に到着。所要時間90分。ブナ帯はなめちゃいけません。今日の経路で一番キツイ区間でした。

ゴンドラ山頂駅付近の登山道から、登ってきたブナ帯を見ています。ご覧の通り霧で覆われ下界が全く見えません。

同じ場所から山頂方向を見ています。霧が駆け上がってきています。


8:30石森分岐到着。雲海が綺麗だったのでここで小休止

方向的には打当方向?。右にゴンドラ山頂駅が見えます。

登ってきた道を振り返ります。

雲海の中から山の稜線がチラリと見えましたが、何という山なのでしょう?

阿仁前田方向だったかな?

もう、雲だらけでどこを撮影したのか忘れてしまいました。

一瞬、秋田駒ヶ岳が雲の切れ間から顔を出しました。

石森付近のハクサンチドリ。群生にはならないかと思ったのですが、結構固まって咲いているようです。


9:40
稚児平到着、ここで20分ほど休憩&撮影。この間、ゴンドラ利用の登山客数人に追い越されました。皆さん強靱な体力をお持ちで…(;^▽^A

稚児平のお花畑は見頃を過ぎ、チングルマは綿毛になりつつあります。

このアングルが今日の中では一番花畑っぽく見える?

ウラジロヨウラクの蕾が膨らみ、チラホラ花を開き始めました。

山頂手前で見かけたハクサンシャクナゲ。他はまだ蕾で見頃はこれからです。

ハクサンシャクナゲの花をアップで。まぁ、我が家の庭に咲いている花の方が豪華だが、それはそれで。

シャクナゲの反対に咲いていましたが名前は不明です。
花の様子ではオオバスノキではないかと思います。山頂の北東側(山人平への道)にもありました。


10:10山頂到着。ブナ帯を出発して3時間半、ブナ帯を通過に1時間半を要しているので、山頂駅から2時間と順調です。ここでも20分ほど休憩&撮影。
周りを見回してもガスがかかって周りの山々は全く見られずでした。
ここでの撮影は前回蕾だったコケモモの花が目的。前回無かったロープが張られていて目的の場所に立ち入れなかったのですが、岩場にへばり付いた花をget。
付近にマルバシモツケもあったのですが帰路に回し、山人平へ急ぎます。(結局マルバシモツケは撮り忘れました。)

コケモモです。ツツジ科に見られる壺形、1cmにも満たない小さな花で、全体的に薄いピンクを纏っています。
帰路でも道端に偶然見つけましたが、あえて探そうとしなければ見逃してしまうような小さな花でした。


登山用の装備を持たない私は普通の長靴で鶴ヶ岱の雪渓を下ります。まぁ、雪なら嫌と言うほど見ていますし、この程度の雪渓を渡れなければ雪国では生活できません。とは言え、アイゼンがあれば越したことはないでしょう。と言うか、この柔らかさの残雪だったら滑り降りた方が早かったか?ビニール袋も持っていたことだし…もっとも、人の目を気にしないのであればですが(´▽`)
雪渓を下りて山人平湿原到着が11:00、途中
鶴ヶ岱の雪渓が途切れた場所でバイカオウレンを撮影したので山頂からの所要時間は実質20分ぐらいでしょうか。

バイカオウレンです。この時期、登山道でよく見かけるミツバオウレンの仲間ですが、ミツバオウレンの華奢な姿に比べ全体的にがっしりした作りです。飾り雄しべ?が黄緑色で雄しべの基部が紫色をしているなど、結構趣のある花で見ていて飽きませんでした。ちょうど鶴ヶ岱の雪渓が切れた辺りの斜面で咲いていて、森吉山ではこの周辺以外では見ることの出来ない花だそうです。

山人平湿原です。ヒナザクラの群落が見事で、水の流れに沿ってミズバショウが咲いています。
注目はミズバショウの大きさです。写真ではわかりませんが高さが15cm程度しかありません。普通に見慣れているミズバショウは30cmほどもあり、里山でも大群落も珍しくはありません。この小ささも高層湿原ならではの姿なのでしょう。


山人平湿原を後にして平坦地の木道を数分で山人平(休憩地)11:30到着。残念ながらお花畑(チングルマ)は見頃を過ぎていました。1週間前だったら見事なお花畑だったことでしょう。見頃が過ぎているとは言え、せっかく来たのですからそれなりの成果を残さねば。
と言うことで、撮影しながら復路です。11:50山人平出発。

休憩所から見るヒバクラ岳。

皆さんここでしばし休憩し山頂へ戻っていきます。
今は草むらですが、間もなくニッコウキスゲが彩りを添える季節になります。

山頂に霧がかかり始めました。
撮影は歩行者の邪魔になってしまうので、路外の砂礫地で行っています。(反則なのですが…m(_ _)m)

私より年配の方も多く見受けられましたが、元気ですね。平日にもかかわらず沢山の方がやって来ます。

チングルマは散ってしまいましたが、イワカガミはまだ健在です。

お花畑(だった地点)からヒバクラ岳を望みます。

チングルマのお花畑は見頃を過ぎたとは言え、一角には小さな群落があります。この群落は今が見頃で、隣接した群落にはまだ蕾が残っていたりと、あと数日は楽しめることでしょう。チングルマを見たいがために山頂を越えてやってくる登山者のためにはありがたい群落です。

湿原の入り口(復路)にはコバイケイソウが咲いていました。コバイケイソウは毒草で、芽出しの頃はオオバギボウシ(ウルイ:食草)とよく似ているため、中毒が絶えない植物です。中央で立ち上がった花が雌花、横から出た花が雄花です。名前に”コ”と着いていますが、バイケイソウと比較して小さいと言うことで、決して小さい花ではありません。ちなみに、バイケイソウの花は緑がかっています。

湿地帯の出口付近で見つけたウスバスミレです。高山性のスミレで雪解け直後の時期に見られます。

小さな湿地帯付近に咲いていたコヨウラクツツジです。山頂付近にに咲いていたオオバスノキによく似た花ですが、葉や花柄に毛があり、実が異なっています。(実はブルーベリーのような形にはなりません)


平坦地はここまで。ここからは雪渓と急坂を登って山頂を目指します
。時刻は12:50、雪渓を越えたのが13:00。意外と早く着きましたが、クタクタです。

下の雪渓入り口から頂上付近を見上げます。見ているだけで気が滅入るのですが、登らざるを得ません。

雪渓を越えた直後にある大岩にへばり付いているアオノツガザクラ(だと思います)。
もう登りたくなくて、ここで大休止、20分間タバコをくゆらせ雪渓と登ってくる登山者を眺めていました。
雪渓を上部から撮影する予定だったのですが、気力を失い(単に忘れた)撮影していません。

頂上付近のハイマツ群落付近に咲いていたオオバスノキです。葉も実もとても酸っぱいらしいので葉を噛んで確認しておいたほうが良かったかも。

山頂付近のナナカマドの花です。やや花終わりの時期で、白い雄しべが茶色くなっていました。残念。


頂上到着13:30、出発13:45。もう後は下るだけ、しかもゴンドラの最終便も気にしなくていい。花を探しながらのんびりと撮影できます。多分私が最後の下山者と思われるので、道端に座ろうが、寝そべっての撮影だろうが周りを気にする必要がありません。o(^▽^)o

山頂から少し下りた場所で咲いていたイワオトギリ。今日はこの1輪しか見つけられませんが、稚児平付近でも見られたと記憶しています。私にはオトギリソウの仲間は判別出来ませんので、日本海側の高山と言うことでイワオトギリとしていますが、どうなんでしょう??

これからの季節、全山で道端に見られるのがイワハゼ。別名アカモノと呼ばれています。小さい花ですが綺麗な花で好きな花です。

イワハゼの一角に見つけたコケモモ。下にあるのがイワハゼ、その上の二段がコケモモです。よく見れば違いは分かりますが、一見イワハゼと見間違えてしまいます。

稚児平の途中にあったコバイケイソウ。大群落とはなりませんが道端のあちらこちらで見かけます。


稚児平到着14:10。
お花畑の状況は往路で撮影したので、それ以外の花をサクッと流して先を急ぎます。

これからの季節の主役、ウラジロヨウラクです。

イワイチョウは、花の付きは良くないものの、分布も広く花期が長いため頻繁に見かけます。基本的には湿った場所を好むのですが、砂礫以外ならどこにでも咲いているような、それぐらい沢山(葉がですよ)あります。

チングルマの実です。花も綺麗ですが羽毛の実の姿も趣があります。赤い茎を伸ばしているのはイワカガミの実です。

ニッコウキスゲ同様夏の山を彩るハクサンボウフウです。森吉山には他にも花の似たセリ科植物がありますが、葉が異なるので見分けが出来ます。

稚児平付近でもニッコウキスゲがポツリポツリ咲き始めました。見頃はこれからです。

赤い萼と白い花が特徴のイワハゼ。写真の場合、日影にある花の方が、バックが暗いため色が際だって見えます。

草むらの中でも目立つハクサンチドリ。緑の中では紫の花は目立ちます。どうしても目が行ってしまいます。

前回、沢山撮影したので控えていたのですが、やっぱり撮ってしまったイワカガミ。ブナ帯上部から山頂まで見られる上、姿が秀麗なのでどうしても撮ってしまいます。

花を咲かせ始めたタニウツギ。花自体は綺麗なのですが、全体的に見ると葉が茂っているためか、配色のせいなのか、あまり綺麗ではありません。花が咲き進むとピンクの色が白っぽくなってしまうのも減点材料です。

斜面には夏の花が咲き乱れています。コバイケイソウ、ナナカマド、ニッコウキスゲ、見づらいのですが道路縁にはハクサンチドリが咲いています。

ナナカマドの花。なかなか雄しべが白い花(咲いて時間が経っていない花)には会えません。

今日は三脚携行、ハクサンチドリもピントが全体にわたるよう絞り込んで撮影してみましたが、なんだか面白みがありません。いつも通りの浅い絞りの方が好きかな?

ニッコウキスゲと山頂なのですが…頂上がよく見えません。稜線が交わる辺りにケルンが見えます。

この季節はブナ帯から稚児平付近まで道端に群落を形成しているマイヅルソウです。

道端に1本立ち又は小群落で目を楽しめてくれるイワカガミ。普通のイワカガミとコイワカガミがあるそうですが、私には区別が分かりません。

そろそろ花の時期を終えようとするシラネアオイ。数株にはまだ花が残っていました。

阿仁避難小屋手前のスロープ(石に賽銭が添えられていた場所付近)で思い出したように出会うチングルマのひとかたまり。

探そうとと思うとなかなか見つからないツマトリソウ。仲良く?寄り添うハクサンチドリ

前回はまだ蕾だったベニバナイチゴ。ほとんどは花を終えていますが、阿仁避難小屋付近に花を付けていた1株を見つけました。

15:30阿仁避難小屋を通過。

この季節、道端で見かける白い花はマイヅルソウと双璧を成すゴゼンタチバナ。こちらも群落を作ります。

本当に全山を覆い尽くすかのようなイワイチョウです。どこにでも進入し群落を作っています。惜しむらくは花の付きの悪さです。葉は秋にはレモンイエローに黄葉するのですが、道端を黄色く染まっている姿を見てみたいものです。

往路で石森を過ぎて1箇所目の湿地帯の入り口にはミズバショウの小さ群落があります。こちらは山人平湿原のような小さいものではなく普通のサイズでした。

雪解けが遅かった場所なのでまだ残っていたウスバスミレです。

同じく花を付けていたシラネアオイ。まだ1本立ちの若い株ですが、数年後には他の株同様大きな株になってくれることでしょう。

こちらもやっと花を開いたショウジョウバカマです。ほとんどの株は花を終えていますが、今日は鶴ヶ岱と、ここだけに咲いていました。

15:50石森分岐通過。
道端で頻繁に目に付くハクサンチドリなのですが、石森付近はほぼ群落と言って差し支えない程の密度でした。花も大きくはなく、草むらに隠れたりと遠目では見劣りしますが、実際目で見て下さい。ちょっとした感動です。

前回はシラネアオイロードでしたが、今日はハクサンチドリロードです。次回はニッコウキスゲロードに変わっているかも?写真が傾いてしまって残念。

オオシラビソ林の道端で俄然幅を利いているのがゴゼンタチバナ。日当たりの良い場所よりもやや日影の方が好みのようです。

石森分岐から少し下がった見晴らし地点。上も下も眺めの良い場所なので必ず撮ってしまうお気に入りの場所です。前回はシラネアオイと森吉山を撮ったのですが、今日はニッコウキスゲでコラボってみました。今日は天候があまりよくなかった上、まだ花数は少ないのですが、間もなくニッコウキスゲが最盛期を迎えますので、もう一度挑戦に登ってきます。(去年は天気が悪くあまり成果が出ませんでした。)

ゴンドラ山頂駅目前で出会ったツマトリソウの小群落。道端にポツリポツリと時折目にしていたツマトリソウでしたが、塊である場所があったとは…。右写真で右側がツマトリソウの小群落、左側はゴゼンタチバナの小群落ですが中に数輪ツマトリソウが紛れ込んでいます。

多分一番最後まで咲いているであろうシラネアオイ。まだ蕾が残っています。

イワハゼの小群落。あえて絞らずに1点にピントを置いてみました。

ゴンドラ山頂駅裏手付近のナナカマド


ゴンドラ山頂駅16:30通過。ゴンドラはまだ運転しているような音が聞こえているものの、当然本日の運行は終了済み。まぁ、乗らないので関係ないのですが…
さて、ブナ帯の急坂を下ります。予定している撮影もあと2回です。

ブナ帯の下まで続くマイヅルソウ。これしか咲いていないと思われるくらいの数です。

前回、山頂で見つけた不明の植物ですがハリブキと判明しました。葉がフキに似ているのでこの名になったとか…フキとは似ても似つかない姿です。名前を付けた人はフキを見たことがないのでしょうね。

ブナ帯での撮影目的のその1はギンリョウソウです。別名ユウレイタケ。色素がなく白く透き通っているようにみえるので、そう呼ばれています。キノコとも見えますがれっきとしたイチヤクソウ科の植物です。

ブナ帯での撮影目的のその2はコケイラン。往路でもう1箇所咲いているのを確認したのですが場所を失念してしまいました。見つけたときに撮っておけば…の典型ですね。植物には詳しくないので、見つけたときにはカキランかと思ったのですが、花が葉腋から出ていない(茎に葉がない)、唇弁の模様が異なっていることから、調べたところコケイランと判明しました。


ブナ帯到着18:00です。撮影していたとは言えブナ帯下山に1時間半かかってしまいました。単に下りても1時間は見ておく必要があります。下り坂なのに汗ビッショリ。

ブナ帯駐車場到着が6:30、準備を整えて6:40から登山出発。下山したのが18:00なので、ザックリと半日使っての登山でした。
山人平のお花畑は見頃が過ぎているであろうことは予想できましたし、すれ違う登山者の情報でもそれは確定されてはいたのですが、とりあえず自分の目で確かめたい訳で、予定通り山人平まで行くことにしました。
本当は前回から1週間過ぎた辺りに登山する予定だったのですが、それはそれ大人の事情があって更に1週間延びてしまいました。当初予定通りだったら山人平のお花畑を堪能できたのにと悔やまれますが、来年の楽しみに取っておきましょう。
雪渓は想像していたよりも急でしたし、それなりにキツイ帰路ではありましたが、思っていたより時間はかかりませんでした。
それより大きく予想を超えたのがブナ帯登山道です。その昔、中高校生の頃に4回ブナ帯を経由して登山の経験があります。もちろん当時はゴンドラなど無かったので、戸鳥内登山口からの入山でした。まぁ、かなり昔の話なので忘れてしまっていても仕方はありません。しかし普段ろくに運動もしていない人間にはキツイ登山道でした。
ブナ帯登山道の後半は、稚児平の急坂よりも、樹氷平(展望所)への急坂よりもキツイ登山道で、急坂はさることながら、石段の踏み面が大きいので必然に足を高く上げる必要があります。もう、帰ってきてから2日間、太腿の筋肉痛で困りました。
ともあれ、初めての山人平の訪問、今回も沢山の花々を見られたことでかなり満足しています。

 

 

 

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